システム思考

Systems Thinking

システム原型

Systems Archetype

システム原型とは、さまざまな分野で共通してよく見られる問題の構造の基本パターンです。傾向と構造 が同じであれば、分野を超えて、先人たちの知恵を活かした解決の指針を得ることができます。英語では、Systems Archetypeといいます。

  • 「連休なので遊びに行った。しかし、車で出かけたらものすごい渋滞で、家に帰りついたのが真夜中になった。」
  • 「出張の経費を使わないとほかの人に使われてしまって損する。そう思ってどんどん使っていたら、年度の終わりには経費予算が残っておらず、肝心な出張ができなくなった。」

あなたの周りでも、このようなパターンを見かけたことはないでしょうか?

これらはいずれも「共有地の悲劇」という構造によって生み出されるパターンです。ドネラ・メドウズは、著書『世界はシステムで動く』の中で、システム原型を「システムの罠」として紹介しているように、私たちはシステムの特性を十分に理解していないためにしばしばシステム原型にあるような状況に陥ります。システム原型を習得することによって、罠に陥った状況を、ストーリー、パターン、構造のレベルから診断することができます。そして対処を考えることで、罠から抜け出す、あるいは、そもそも罠に陥らない手立てを考えるのに有効なツールです。

このシステム原型を、ビジネスの文脈にまとめなおしたのが、学習する組織を提唱したピーター・センゲ、ダニエル・キム、ディヴィッド・ストローらです。ピーター・センゲは1990年に刊行した『The Fifth Discipline(邦題:学習する組織)』で10の原型を紹介しています。

学習する組織を展開するためにイノベーション・アソシエイツ社をピーター・センゲらと共同設立したディヴィッド・ストローは、著書『社会変革のためのシステム思考実践ガイド』の中で、次の12のシステム原型を紹介しています。

12のシステム原型

出典:ディヴィッド・ストロー『社会変革のためのシステム思考実践ガイド』

いくつかの基本となる原型を理解すれば十分に役に立ちます。ほかの原型はその組み合わせや応用が多いからです。また現実の問題について、ループ図で整理するときも、複数の原型の組み合わせであることがしばしばです。実際、システム原型は、より複雑な状況についてモデルとして整理し、描くための見立てに使われていたものです。

また、フィードバック構造の組み合わせのパターンによって、行ってしまいがちなレバレッジの低い施策を認識すること、そして、ムダなリソース活用を抑えると共に、よりレバレッジのある施策を検討することに役立てます。

[システム原型]コラムまとめ読み!

システム原型05「成長の限界」

システム原型06「強者はますます強く」

システム原型07「予期せぬ敵対関係」

システム原型08「共有地の悲劇」

システム原型11「目標のなし崩し」

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システム原型 入門道場

学習する組織5つのディシプリンのシステム思考モジュール

穴の中にいるときは掘るのをやめろ。

――米国テネシー州のことわざ

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