サステナビリティ
気候変動
世界各国の科学者達が集まって作成したIPCC6次レポートによれば、世界全体での化石燃料利用による二酸化炭素の排出量は年間330億tCO2を超える一方で、吸収は240億tCO2程度と推定されています。その結果、毎年90億tCO2以上の二酸化炭素が大気中に追加されています。
産業でのその他の温室効果ガスの使用や農業慣行、森林伐採などが重なり、産業革命以降、温室効果ガスは大気中にその蓄積を増加し続けました。この100年間で地球の地表付近の温度は1.1度上がりましたが、複合的な要因の重なりの中でも、人為的な温室効果ガス増加の影響が大きいと考えられています。現在の温室効果ガスの排出量の増加ペースが続けば、2100年までに世界平均気温は産業革命前と比較して4.8℃上昇すると予測されています。これは、地球温暖化の長期目標である1.5℃または2℃上昇を大幅に上回る値です。
平均気温の上昇は、世界の各地で気候や地理を変動させ、より強度の暴風雨、洪水、干ばつ、熱波、海面上昇、生物種の減少、水不足、疫病、食糧生産量の減少などのさまざまな影響が予想され、3℃の気温上昇により、2100年までに世界のGDPは最大で30%減少する可能性があると言われています。(IPCC6次レポート)
日本でも、気候変動枠組み条約に加盟し、温室効果ガスの排出量の削減目標を設定するパリ協定に批准して、温暖化問題の緩和策と適応策を進めようとしています。2020年の国連気候変動サミットでは、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「脱炭素社会」を実現する目標を宣言しました。
世界と日本の政治経済は、低炭素社会を目指して動いています。
参考:「SYNTHESIS REPORT OF THE IPCC SIXTH ASSESSMENT REPORT (AR6)」
C-ROADS
気候変動のシミュレーション・ツール「C-ROADS」は、IPCCなどによって報告された科学的知見を各国の政策に活かすために、政策決定者、メディア、NGOなどさまざまな関係者によって活用されているツールです。パリ協定の合意に基づき、各国が設定した目標から2100年の平均気温上昇や海面上昇がどれくらいになるのか、また、国際的な合意となっている2度以内の上昇に抑えるためにはどの程度の排出量削減や森林管理が必要となるかなどをリアルタイムでシミュレーションできます。
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