システム思考
Systems Thinking
システム原型 05
成長の限界
STORY
予期せぬ制約要因:
急激な成長に制約をかけるメカニズム挙動(パターン)
構造
パフォーマンス、産出(アウトプット)、成果(アウトカム)などが伸びるときには、そのエンジンを回し続けるアクセルとなる「成長行動」が存在します。成長行動には、自組織でのリソースや資本を拡大する再投資や経験からの学習、効率化、品質改善、品揃え拡大などもあれば、外部からの口コミ、評判、投資や支援の拡大などもありえます。こうした成長行動は、パフォーマンスとの間で好循環を形成し、成長を駆動します(R1:好循環ループ)。
しかし、物理的なものには必ず限界があります。その限界レベルに対して産出が高まるにつれて抑制する行動や状況が生じて、しばしば時間遅れを伴ってさらなる産出を抑制します。(B2:抑制プロセスループ)
市場の潜在規模が飽和する場合や子どもが成長して大人の体格になると成長がとまり、安定する場合はS字カーブを形成します。一方で、生産能力に対する稼働率、持ち時間に対する稼働時間の上昇が限界レベルを超えることによって、納期遅れ、品質問題、調整によるしわ寄せなどが発生する場合は、限界を超える無理な成長あるいはキャパシティの向上が足りないことによる成長の頭打ちや踊り場などの状況が生じ、場合によっては「成長と反転」「行き過ぎと振動」「バブル膨張と崩壊」などのパターンをつくることもあります。
あなたの周りにもこのような状況はないでしょうか?
あなたなら、このような状況に陥った場合どうしますか?
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システムへの働きかけがあったとき、介入されたシステムにはシステムの抵抗、つまり、その働きかけの効果を遅らせ、弱め、あるいは意味のないものにしてしまう力が働く。
ーーデニス・メドウズ(2009年日本国際賞受賞者)