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小田理一郎の本棚
チェンジ・エージェントの社長兼 CEO、小田理一郎の本棚から、システム思考、学習する組織、持続可能性に関連する参考書籍をご紹介します。
システム思考/学習する組織を学ぶ時ときに読むべき、最初の4冊
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学習する組織
「学習する組織」の概念は、MIT上級講師のピーター・センゲ氏により提唱されました。センゲ氏によるオリジナル『学習する組織』と3 冊のフィールドブックと題する実践ガイドが参考になるでしょう。
- ピーター・センゲ『学習する組織―システム思考で未来を創造する』(枝廣淳子、小田理一郎、中小路佳代子訳、英治出版、2011年)
- ピーター・センゲ、他『フィールドブック 学習する組織「5つの能力」 企業変革をチームで進める最強ツール』(柴田昌治、スコラ・コンサルト監訳、牧野元三訳、日本経済新聞社、2003年)
- ピーター・センゲ、他『フィールドブック 学習する組織 10の変革課題―なぜ全社改革は失敗するのか』(柴田昌治、スコラ・コンサルト監訳、牧野元三訳、日本経済新聞社、2004年)
- ピーター・センゲ、他『学習する学校―子ども・教員・親・地域で未来の学びを創造する』(リヒテルズ直子訳、英治出版、2014年)
センゲ氏の「学習する組織」の導入として、チェンジ・エージェントの小田理一郎が2冊の入門書を書きました。前者は人材育成や組織開発を実践する経営者と担当者向けに、後者はより広く一般向けの入門書として書いています。
数多くのイノベーション創造に共通するプロセスについてまとめ、「学習する組織」の5つのディシプリンを統合的に進めるモデルとして開発されたのが、「Uプロセス」です。
- ピーター・センゲ、他『出現する未来』(野中郁次郎監訳、高遠裕子訳、講談社、2006年)
- C ・オットー ・シャーマー『U理論―過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』(中土井僚、由佐美加子訳、英治出版、2010年)
- C・オットー・シャーマー、カトリン・カウファー『出現する未来から導くーU理論で自己と組織、社会のシステムを変革する』(由佐美加子、中土井僚訳、英治出版、2015年)
センゲ氏とともに、学習する組織の実践を掘り下げ、組織学習協会を立ち上げに加わったのがデ・グース氏です。また、手法は異なりますが、日本企業の実践から組織の学習(知識創造)について野中氏らが書いた本が参考になるでしょう。
そのほか、日本人によって執筆された「学習する組織」に関わる本です。
- 高間邦男『学習する組織 現場に変化のタネをまく』(光文社新書、2005年)
- 熊平美香『チーム・ダーウィン 「学習する組織」だけが生き残る』(英治出版、2008年)
- 吉村春美『みんなが「話せる」学校 対話で学びと挑戦の土壌を創る 』(学事出版、2024年)
複雑性を理解する―システム思考
センゲ氏や小田理一郎の属するシステム・ダイナミックス学派によるシステム思考について学ぶ決定版が最初の2冊です。スターマン氏の著書は、システム思考にとどまらず、学習理論、特にシングル・ループ学習とダブル・ループ学習についても詳しく書かれています。メドウズ氏の著者は、システム思考家たちのバイブルとも言えるレバレッジ・ポイントの指針が示されています。
- ジョン・D・スターマン、小田理一郎『システム思考―複雑な問題の解決技法』(枝廣淳子、小田理一郎訳、東洋経済新報社、2009年)
- ドネラ・メドウズ『世界はシステムで動く―いま起きていることの本質をつかむ考え方』(枝廣淳子訳、小田理一郎解説、英治出版、2015 年)
- バリー・M・リッチモンド『システム思考入門I教育編』(バーシティウェーブ訳、カットシステム、2004年)
- 島田俊郎『システムダイナミックス入門』(日科技連出版社、1994年)
- 金土達男『シュミレーションによる システムダイナミクス入門』(東京電機大学出版局、2005年)
- 森田道也『経営システムのモデリング学習』(牧野書店、1997年)
システム思考をわかりやすくひもとく目的で書かれたのが下記の2 冊です。前者は入門書、後者は事例集的な位置づけになっています。
- 枝廣淳子、小田理一郎『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方』(東洋経済新報社、2007年)
- 枝廣淳子、小田理一郎『もっと使いこなす!「システム思考」教本』(東洋経済新報社、2010年)
米国のペガサス・コミュニケーションズ社は、センゲ氏と共に数多くの企業でファシリテーターを務めたキム氏によって設立され、システム思考の実践に関する多くの書籍を出版しました。
- バージニア・アンダーソン、他『システム・シンキング 問題解決と意思決定を図解で行う論理的思考技術』(日本能率協会マネジメントセンター、2001年)
- ダニエル・キム『システム・シンキング トレーニングブック 持続的成長を可能にする組織変革のための8つの問題解決思考法』(日本能率協会マネジメントセンター、2002年)
事業環境や経済環境を取り巻く、より大きな基盤となる社会システムや自然システムに関するシステム的な洞察は、今後の不確実な時代を読み解く鍵となります。
- ピーター・センゲ、ブライアン・スミス、ジョー・ロー、サラ・シュリー『持続可能な未来へ』(有賀裕子訳、日本経済新聞出版社、2010年)
- デニス・メドウズ、他『成長の限界―人類の選択』(枝廣淳子訳、ダイヤモンド社、2005年)
よりアカデミックな位置づけとなりますが、近代的なシステム思考の源流となるシステム理論を学ぶには、下記の本がお勧めです。
- L・フォン・ベルタランフィ『一般システム理論―その基礎・発展・応用』(長野敬訳、みすず書房 、1973年)
- ハーバート・A・サイモン『システムの科学』(稲葉元吉訳、パーソナルメディア、1999年)
- ジェラルド・M・ワインバーグ『一般システム思考入門』(松田武彦訳、紀伊國屋書店、1979年)
その他のシステム思考に関する書籍は以下の通りです。
- マルコム・グラッドウェル『急に売れ始めるにはワケがある―ネットワーク倫理が明らかにする口コミの法則』(高橋啓訳、SBクリエイティブ、2007年)
- エリヤフ・ゴールドラット『ザ・ゴール』(三本木亮訳、ダイアモンド社、2001年)
- 沼上幹『経営戦略の思考法』(日本経済出版社、2009年)
- マーガレット・J・ウィートリー『リーダーシップとニューサイエンス』(東出顕子訳、英治出版、2009年)
- 田坂広志『まず、世界観を変えよ―複雑系のマネジメント』(英治出版、2010年)
- フランシス・ウェスリー、ブレンダ・ツィンマーマン、マイケル・クイン・パットン、エリック・ヤング『誰が世界を変えるのか』(東出顕子訳、英治出版、2008年)
- アラン・ブリスキン、シェリル・エリクソン、ジョン・オット、トム・キャラナン『集合知の力、衆愚の罠―人と組織にとって最もすばらしいことは何か』(上原裕美子訳、 英治出版 、2010年)
- ドネラ・メドウズ『システム思考をはじめてみよう』(枝廣淳子訳、英治出版、2015年)
- 『システム思考がモノ・コトづくりを変える デジタルトランスフォーメーションを成功に導く思考法』(日経BR、2019年)
共創的な対話を展開する―メンタル・モデルとチーム学習
未来に関するメンタル・モデルの再構築に有用なシナリオ・プランニングに関する著書に下記があります。カヘン以外は「適応型」シナリオ・プランニングの手法について紹介し、特にデル・ハイデン氏の本は秀逸です。カヘン氏は、「共創型」シナリオ・プランニングという、マルチステークホルダーによるチーム学習プロセスを重ね合わせた手法を提唱しています。
- アダム・カヘン『社会変革のシナリオ・プランニング―対立を乗り越え、ともに難題を解決する』(小田理一郎監訳、東出顕子訳、英治出版、2014年)
- キース ヴァン・デルハイデン『シナリオ・プランニング「戦略思考と意思決定」』(株式会社グロービス監訳、西村行功訳、ダイヤモンド社、1998年)
- ピーター シュワルツ『シナリオ・プランニングの技法 (Best solution)』(垰本一雄、池田啓宏訳、東洋経済新報社、2000年)
- ウッディー・ウェイド『シナリオ・プランニング 未来を描き、創造する』(野村恭彦監訳、関美和訳、英治出版、2013年)
未来のシナリオを策定するにあたって、社会経済システムに関する洞察や問いを投げかける書籍が有用です。
チーム学習の「4つの話し方・聞き方」について、カヘンの2つの本がさらに詳しい実践の手引きと数多くの事例を紹介しています。
- アダム・カヘン『手ごわい問題は、対話で解決する』(株式会社ヒューマンバリュー訳、ヒューマンバリュー、2008年)
- アダム・カヘン『未来を変えるためにほんとうに必要なこと』(由佐美加子監訳、東出顕子訳、英治出版、2010年)
ダイアログについて、学習する組織では「ボーム式ダイアローグ」を中心に紹介しながらも、近年は「アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)に代表されるポジティブ・アプローチ、多様性の掛け合わせをより強めた「ワールド・カフェ」、徹底した自己選択を促す「オープン・スペース・テクノロジー(OST)」などさまざまな手法が開発、実践されています。また、スティルガー氏は、これらの手法を目的や状況に応じて設計する「アーツ・オブ・ホスティング」を紹介しています。
- デヴィッド・ボーム『ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ』(金井真弓訳、英治出版、2007年)
- ダイアナ・ホイットニー、アマンダ・トロステンブルーム 『ポジティブ・チェンジ 主体性と組織力を高めるAI』(ヒューマンバリュー、2006年)
- アニータ・ブラウン、デイビッド・アイザックス 『ワールドカフェ カフェ的会話が未来を創る』(香取一昭、川口大輔訳、ヒューマンバリュー、2007年)
- ハリソン・オーエン『オープン・スペース・テクノロジー ~5人から1000人が輪になって考えるファシリテーション~』(ヒューマンバリュー、2007年)
- ボブ・スティルガー『未来が見えなくなったとき、僕たちは何を語ればいいのだろう―震災後日本の「コミュニティ再生」への挑戦』(野村恭彦監修、豊島瑞穂訳、英治出版、2015年)
組織システムや人間関係システムに関わる上で、介入者としての姿勢を説くシャイン氏の「プロセス・コンサルティング」はセンゲ氏に大いに影響を与えました。ファシリテーター、コンサルタントはもちろんのこと、上司、教師、親にとっても大事なことを学べる本です。
- エドガー・H・シャイン『人を助けるとはどういうことか 本当の「協働関係」をつくる7つの原則』( 英治出版、2009年)
- エドガー・H・シャイン『問いかける技術―確かな人間関係と優れた組織をつくる』(金井壽宏監修、金井真弓訳、英治出版、2014年)
志を育成する―自己マスタリーと共有ビジョン
自己マスタリーでは、「構造的緊張」に中立的に対処し、人格そのものの発達を目指します。トルバート氏とキーガン氏らの書籍は、近年注目される「発達理論」にもとづくリーダーシップを学ぶことで、自己マスタリーへの段階的、多様なアプローチが可能になります。
- ビル・トルバート『行動探求―個人・チーム・組織の変容をもたらすリーダーシップ』(小田理一郎、中小路佳代子訳、英治出版、2016年)
- ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー『なぜ人と組織は変われないのか―ハーバード流 自己変革の理論と実践』(池村千秋訳、英治出版、2013年)
脆弱、不確実、複雑、曖昧な時代にあって、リーダーは外的環境に適応するとともに、自らの内的基盤をしっかりと持つことが求められます。それには、潜在意識下にある自身の源へのアクセスすることが鍵となります。
- ジョセフ・ジャウォースキー『シンクロニシティ 未来を創るリーダーシップ』(金井壽宏監修、野津智子訳、英治出版、2007年)
- ジョセフ・ジャウォースキー『源泉―知を創造するリーダーシップ』(金井壽宏監修、野津智子訳、英治出版、2013年)
U 理論は、社会変容、組織変容、個人変容のそれぞれで活用できますが、特に個人の観点では、下記が入門書としてわかりやすいでしょう。
志を育む上で、ほかならぬ東洋思想を学ぶことが、自らの根源をみつめ、ぶれない軸をつくるのに役立つでしょう。
そのほかの自己マスタリーに関わる本は以下の通りです。
- ロバート・K・グリーンリーフ『サーバントリーダーシップ』(金井壽宏 監修、金井真弓訳、英治出版、2008年)
- デービッド・ハチェンス『エミーとレニー 2匹のねずみのお話』(伊藤武志訳、日本能率協会マネジメントセンター、2001年)
- リチャード・J・ライダー、他『人生に必要な荷物、いらない荷物』(枝廣淳子訳、サンマーク出版、1995年)
- ディック・J・ライダー他『人生に必要な荷物、いらない荷物2』(枝廣淳子訳、サンマーク出版、2002年)
- リチャード・J・ライダー『ときどき思い出したい大事なこと』(枝廣淳子訳、サンマーク出版、1998年)
サステナビリティ
サステナビリティに関して、チェンジ・エージェント社の役員が関わり、または推薦する書籍を紹介します。
- ドネラ・メドウズ、他『成長の限界―ローマ・クラブ人類の危機レポート』(ダイヤモンド社、1972年)
- ドネラ・メドウズ、他『限界を超えて―生きるための選択』(ダイヤモンド社、1992年)
- デニス・L・メドウズ、枝廣淳子、ドネラ・H・メドウズ『地球のなおし方』(ダイヤモンド社、2005年)
- レスター・R・ブラウン『大転換―新しいエネルギー経済のかたち』(枝廣淳子訳、岩波書店、2015年)
- レスター・R・ブラウン『地球に残された時間 80億人を希望に導く最終処方箋』(枝廣淳子、中小路佳代子訳、ダイヤモンド社、2012年)
- レスター・R・ブラウン『エコ経済革命』(枝廣淳子訳、たちばな出版、1998年)
- レスター・R・ブラウン、枝廣淳子『データでわかる世界と日本のエネルギー大転換』(岩波書店、2016年)
- アル・ゴア『不都合な真実』(枝廣淳子訳、ランダムハウス講談社、2007年)
- アル・ゴア『私たちの選択―温暖化を解決するための18章』(枝廣淳子訳、武田ランダムハウスジャパン、2009年)
- アラン・アトキソン『カサンドラのジレンマ―地球の危機、希望の歌』(枝廣淳子訳、PHP研究所、2003年)
- ポール・ホーケン、 L・ハンター・ロビンス、エイモリ・B・ロビンス『自然資本の経済―「成長の限界」を突破する新産業革命』(佐和隆光、小幡すぎ子訳、日本経済新聞社、2001年)
- カール=ヘンリク・ロベール『ナチュラル・ステップ―スウェーデンにおける人と企業の環境教育』(市河俊男訳、新評論、1996年)
- レイ・アンダーソン『パワー・オブ・ワン―次なる産業革命への7つの挑戦』(枝廣淳子、河田裕子訳、海象社、2002年)
- マティース・ワケナゲル、ウィリアム・リース『エコロジカル・フットプリント―地球環境持続のための実践プランニング・ツール』(合同出版 、2004年)
- 枝廣淳子『レジリエンスとは何か―何があっても折れないこころ、暮らし、地域、社会をつくる』 (東洋経済新報社、2015年)
- 枝廣淳子『わが家のエネルギー自給作戦』(株式会社エネルギーフォーラム、2012年)
- 枝廣淳子『エネルギー危機からの脱出』(講談社、2011年)
- 枝廣淳子、小田理一郎『企業のためのやさしくわかる「生物多様性」』(技術評論社、2009年)
- 枝廣淳子、ジャパン・フォー・サステナビリティ『がんばっている日本を世界はまだ知らない vol.1』(海象社、2004年)
- 枝廣淳子、ジャパン・フォー・サステナビリティ『がんばっている日本を世界はまだ知らない vol.2』(海象社、2005年)
- 西水恵美子『国をつくるという仕事』(英治出版、2009年)
- 田坂広志『未来を予見する「5つの法則」』(光文社、2008年)
- シンシア・スミス『世界を変えるデザイン―ものづくりには夢がある』(英治出版、2009年)
- ジャクリーン・ノヴォグラッツ『ブルー・セーター 引き裂かれた世界をつなぐ起業家たちの物語』(北村陽子訳、英治出版、2010年)
- C・K・プラハラード『ネクスト・マーケット』(英治出版; 増補改訂版、2010年)
- ニコラス・サリバン『グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 』(東方雅美、渡部典子訳、英治出版、2007年)
学習する組織/システム思考に効く読書シリーズ(コラム記事)
- 学習する組織/システム思考に効く読書(1)『こんなに働いているのに、なぜ会社は良くならないのか?』
- 学習する組織/システム思考に効く読書(2)『シンクロニシティ―未来をつくるリーダーシップ』
- 学習する組織/システム思考に効く読書(3)『僕たちは島で、未来を見ることにした』
- 学習する組織/システム思考に効く読書(4)『ストーリーとしての競争戦略―優れた戦略の条件』
- 学習する組織/システム思考に効く読書(5)『U理論―過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』
- 学習する組織/システム思考に効く読書(6)『地球の法則と選ぶべき未来―ドネラ・メドウズ博士からのメッセージ』
- 学習する組織/システム思考に効く読書(7)『学習する組織―システム思考で未来を創造する』
- 学習する組織/システム思考に効く読書(8)『リーダーの本当の仕事とは何か』
- 学習する組織/システム思考に効く読書(9)新刊『システム思考がモノ・コトづくりを変える』の紹介
- 学習する組織/システム思考に効く読書(10)『僕らが変わればまちが変わり、まちが変われば世界が変わる』
- 学習する組織/システム思考に効く読書(11)『複利で伸びる1つの習慣』
- 学習する組織/システム思考に効く読書(12)『みんなが「話せる」学校』