システム思考
システム原型 04
問題のすり替わり
STORY
意図せざる依存:
私たちが中毒になる応急処置挙動(パターン)
構造
問題が発生しているとき、その問題の症状への対症療法で症状を緩和します(B1:応急処置ループ)。その一方で、問題の根本原因を取り除くような根治療法は、しばしばリソース、時間、難易度などの理由で実施することが難しく、二本線を引いているつながりはなかなか進みません(B2:根本解決ループの右側)。その一方で、対症療法の副作用が根治療法の実施を妨げ、しばしば根治療法の実施の基盤となる能力や体制を損なわせます。その結果、問題の根本原因は放置されるので再び問題の症状が発生します。そうすると、過去「うまくいった」と認識している対症療法を再び取ってしまい、その副作用が根治療法を妨げる悪循環が繰り返し回ります(R3:悪循環ループ)。
疲れているときにコーヒーや栄養ドリンクを飲む、人間関係に絡む悩みを抱えながらアルコールや薬物をとる、など、私たちは問題を忘れよう、無いことにしようとする「対症療法」に依存し、いつの間にか中毒になってしまうことも少なくありません。このシステム原型の別名は、「中毒」「依存症」です。
また、コンサルティングや政府支援、国際支援などのように、しばしば当事者が自力では解決できない状況に外部支援者が支援するケースがあります。気をつけていないと、外部支援者の介入(対症療法)が、当事者による自立・自律的な解決(根治療法)のための能力を奪ってしまうこと副作用がしばしば生じます。このようなケースは、「介入者への問題のすり替わり」という、このシステム原型の亜型となります(『学習する組織』付録収録)。
あなたの周りにもこのような状況はないでしょうか?
あなたなら、このような状況に陥った場合どうしますか?
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今日の問題は、昨日の解決策から生じている。
――不詳