システム思考
システム原型 11
目標のなし崩し
STORY
偶発的な不振:
実際のパフォーマンス水準も、望んでいるパフォーマンス水準も、次第に下がっていく(ゆでがえる症候群)挙動(パターン)
構造
目標レベルと実際のパフォーマンスとの間に乖離がある際に、根本的にとりたいのは修正アクションですが、アクションを取ってもすぐにパフォーマンスが上がるとは限らず、しばしば阻害要因や時間遅れがあります(B1目標追求ループ)。
目標と実際の乖離があるとき、私たちは圧力やテンションを感じます。アクションを取っても結果がすぐに出ない場合はなおさらです。そのような時に、私たちが対症療法的にとる行動の一つが目標修正、すなわち目標レベルを下げてしまうことです。目標を低く掲げれば、乖離は縮小して圧力も下がります(B2目標修正ループ)。
もし、この目標修正が期間に対する現実的な修正や時間稼ぎとして、修正アクションをとり続ける場合は必ずしも問題ではありません。しかし、喉元過ぎれば熱さを忘れるといった習性のように、乖離がないために修正アクションをとらなくなると、実際のパフォーマンスは上がらず場合によっては下がり始めます。こうして、再度目標と実際の乖離が開き始めます(B1ループ)。
そこでまた目標の下方修正(B2ループ)を行って乖離を縮小し、アクションをとらないためにパフォーマンスが下がりと悪循環が回り始めてしまうのが「目標のなし崩し」です(相反するバランス型2つが連結することで自己強化型フィードバックを構築します)。
この目標と結果が下がるパターンは、健康や学習、キャリアなどにおける長い時間軸で徐々に起こることが多いため、「ゆでがえる症候群」とも呼ばれます。また、B2ループを対症療法、B1ループを根治療法と見立てることで、「問題のすり替わり」の亜型として類型する場合もあります。
あなたの周りにもこのような状況はないでしょうか?
あなたなら、このような状況に陥った場合どうしますか?