システム思考
Systems Thinking
システム原型 08
共有地の悲劇
STORY
それぞれの当事者の最適化が全体の破壊につながる:
誰にも属さない資源を皆が好きなように利用する挙動(パターン)
構造
共有地の悲劇の行動は、生態系学者のハーディンが羊飼いの行動で説明されたことが著名です。
羊飼いのAは、羊を飼うことで利益を得て、その利益でさらに羊の数を増やします(R1ループ)。
その他の羊飼いたちをBとしたとき、Bもまた、羊を飼うことで利益を得て、その利益でさらに羊の数を増やします(R2ループ)。
しかし、AとBの羊を飼育する行動の総量が増えると、双方が共有する牧草地への負荷が徐々に高まり、牧草の使用量が牧草地の扶養能力(資源の限界)に近づくにつれて、生産性が低下していきます。今までのように羊が成育しなくなってくると、AにとってもBにとっても利益を失います(B3、B4ループ)。
しかし、AにとってもBにとっても、自分だけが羊を飼わないのは割が合わないと感じます。自分が減らした分の牧草を他者が得て利益を上げるからです。互いに譲らずに、行動の総量が増え続けると最終的には環境の扶養能力そのものが損なわれて、生産性が急激に減少する崩壊が起こりえます(R5ループ)。
あなたの周りにもこのような状況はないでしょうか?
あなたなら、このような状況に陥った場合どうしますか?