システム思考
システム原型 10
エスカレート
STORY
意図せざる増殖:
あなたが強く押せば押すほど、競争相手もさらに強く押し返してくる挙動(パターン)
構造
「エスカレート」は、軍拡競争や市場での競争などにおいて発生しうる原型です。
市場シェアを巡って、A社が自社の相対的シェアが不十分であると認識して活動(値下げ、付帯サービスの追加、生産能力の強化など)のレベルを高めるとA社の結果が改善し、他社に対する相対的シェアを高めます(B1ループ)。
しかし、A社の相対的なシェアが上がることは、他のB社の相対的なシェアが下がることを意味する場合、B社もまた活動(値下げ、付帯サービスの追加、生産能力の強化など)のレベルを高めて、自社の相対的なシェアを取り戻そうとします(B2ループ)。
そうすると、A社がまた活動を高め、そうするとB社がまた活動を高め、と活動のレベルは高まっていくのに対して、利益を度外視した活動レベルが向上するパターンは、A社B社とも結果を長期的に衰退させていきます。このようにバランス型ループ2つが、ある連結点で相反する力の相克として結びつくとき、2つのループの間を8の字に回る自己強化型フィードバックをつくります。これを展開したのが、R3エスカレートループです。
競争は健全なものであるうちはよいのですが、相手を排除しようとしたり、生存をかけて立ち向かおうとする際に、過当競争や「どん底への競争」をもたらし、結果的には市場や社会にとっての害悪となるケースもあります。選挙での中傷合戦や消耗戦も、社会に価値をもたらすことはまれです。スポーツなどに見られるように健全な競争は、お互いを高め合うものですが、不健全なエスカレートはLose-Loseの関係を作り、長い目で見ると誰も得るものがないことが多く見られます。
あなたの周りにもこのような状況はないでしょうか?
あなたなら、このような状況に陥った場合どうしますか?