システム思考
システム原型 09
バラバラの目標
STORY
対立する取り組みまたは複数の取り組み:
対立する目標を満たそうとする、またはあまりに多くの目標を達成することを目指すと、一つも達成できないことになる挙動(パターン)
構造
それぞれ別の目標をもつ関係者が集まったとき、あるいは一つの組織で複数の目標がある場合にこの構造を起こることがあります。わかりやすいのは、疫病のリスクが高い際の経済活動の目標1と公衆衛生の安全性の目標2の間や、組織における生産性やコストの目標1に対する安全性や品質の目標2の間などでよくみられます。
目標1(生産性など)に対するパフォーマンス1の間に乖離1がある際に、その乖離を修正する行動1をとることで、目標1へと収束させるバランス型プロセスをとります。
目標2(安全性など)に対するパフォーマンス2の間に乖離2がある際に、その乖離を修正する行動2をとることで、目標2へと収束させるバランス型プロセスをとります。
乖離1であれ乖離2であれ、その総和が葛藤やトレードオフなどのバラバラの目標への圧力をかけることで、関係者たちがさまざまな修正行動を追加したり強化したりすることで、副作用が生じます。例えば目標1(生産性など)を過度に推し進めるとパフォーマンス2(安全性など)を阻害し(R3ループ)、また、目標2を過度に推し進めるとパフォーマンス1を阻害するなどです(R4ループ)。
バラバラの目標への圧力が高まるパターンになっているときには、どちらのパフォーマンスも低下し、揺り戻しやどっちつかずの状況となって悪循環に陥ることも少なくありません。
なお、ここで出した例は、本来両立しうる目標の間に見られる構造ですが、例えばある土地や領土をどちらの所有とするかなど、両立し得ない場合には「相克する目標」や「エスカレート」と呼ばれるこの原型の亜型を構成します。
あなたの周りにもこのような状況はないでしょうか?
あなたなら、このような状況に陥った場合どうしますか?