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2014年3月より有志によるマルチステークホルダー会議「未来教育会議」に関わる機会をいただきました。さまざまなセクターから集まった、教育のこれからの未来を考えんとする70名余の志ある人たちが、さまざまな教育の現実や未来へのタネなどを見つめ、対話を重ねていきました。
11月には、アダム・カヘン直伝の変容型シナリオ・プランニング(TSP)を活用して、2030年までの教育の未来シナリオを策定しました。わずか3日間というチャレンジングな状況でしたが、それまでのラーニング・ジャーニーによる現場観察の積み重ねや互いの関係性構築が場を十分暖めてくれたので、きわめて高い質の議論が展開され、合計20のシナリオが発表されました。
そして先週2月6日に、その共通項や、重要な駆動要因をもとに、実行委員会が最終的に3つのシナリオを策定しました。3つのシナリオのそれぞれでどのような行動をとるか、そして、共創によって未来に影響を与える余地がどこにあるかなどを話し合った後、オープンスペース式の対話の場に13のプロジェクトのタネがまかれ、グループ別の議論が重ねられます。その発表を経て、それぞれを進める仲間が次のアクションを確認しました。「未来教育会議」の成果報告のシンポジウムが3月7日東京で行われる予定です。
今回集まった皆さんは、教育に関わる主体的な存在として個人的な想いをあらためて確認し、対話を重ねて、個人や組織として、そして協働で、何ができるのか、何が為されるべきなのか、それぞれの想いを紡いでいきました。きっとこの中から、未来にインパクトを与えるようなムーブメントが現れることを信じています。私もまた、「21世紀型スキル」と呼ばれ、教育の未来に重要な役割を果たす学習者主体の教育、共創的な対話力、システム思考などの教育で貢献していきたいと考えています。
こうしたすばらしい成果にいたったのも、ワークショップを主催いただいた実行委員会の皆様、そして、参加いただいたステークホルダーの皆様のおかげです。厚く御礼を申し上げます。
この一連の経験で、シナリオという手法が、日本でもしっかりと展開されて行くであろうという確信と共に、希望のタネが撒かれた瞬間に居合わせることができました。みなさんの間でも、未来に向けて利害関係者間での一筋縄でいかない課題の共通理解、共通アクションの策定に向けて、変容型シナリオ・プランニングを検討してみてはいかがでしょうか。
アダム氏の手法や取り組みに関する講演キャンペーン(2015年3月末まで)
アダム・カヘン氏書籍
『社会変革のシナリオ・プランニング――対立を乗り越え、ともに難題を解決する』(英治出版)
南アフリカのアパルトヘイト問題や、コロンビアの内戦など、世界のさまざまな紛争や対立状況において数多くの解決や進歩を生み出したアダム・カヘン氏の第三作「 Transformative scenario planning」の日本語版です。