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システム・チェンジとは?
システム・チェンジとは、目的意識ある介入により、特定されたシステムの機能や構造を変え、現状を変えさせるためにデザインされた意図的なプロセスです。
ビル・ドレイトンの創設した社会起業家ネットワーク「アショカ」では、サービスや食料を必要とする人々や、彼らの福利に直接的な利益をもたらす人々を対象とする「直接サービス」に対比して、そもそも「社会課題を生み出している根本的な原因にアプローチし、解決すること」ことを「システム・チェンジ」としています。例えば、飢えた人々への炊き出しや学生がスキルを身につける小規模指導プログラムは直接サービスですが、女性が貧困から抜け出すためのマイクロクレジットや、オンラインでの情報共有のあり方を民主化したウィキペディアはシステム・チェンジとなります。
赤十字、国境なき医師団など、直接サービスである介入や解決策のロジスティクスをうまく管理することで効率やスケールを高める場合には「スケールの大きな直接サービス」と呼ぶ一方、システム・チェンジがより大きな規模に人々のマインドセットを変えて、最終的には社会全体の行動を変える場合は「フレームワーク・チェンジ」と呼んでいます。特定の分野や国レベルの介入ではなく、より多くの個人や組織の取り組みが複合的に組み合わさってパラダイム・シフトを起こすことです。
大規模なシステム・チェンジ(「フレームワーク・チェンジ」)の一例として、公共での喫煙の仕方があるでしょう。かつて、職場でもレストランでも交通機関でも、喫煙者と非喫煙者が同じ空間を共有することが当たり前であり、受動喫煙が避けられない状況であり、健康や医療費などの社会課題として懸念されていながらも、禁煙・分煙などはごく一部の場に限られていました。ところが、今では日本でもアメリカでも、公共の場では禁煙が当たり前となって、喫煙したい人は隔離された喫煙スペースや建物の外などに出て喫煙するようになりました。ここでは、単に建物や乗り物内での法律やルールにとどまらず、喫煙に対する社会の価値観や規範が大きく変わり、建物や乗り物における隔離や換気のための設備構造や関連技術なども変わっていきました。こうした動きは、一部の都市や健康意識の高い職場だけにとどまらず、社会のあちこちまで広がっています。まさに大規模なシステム・チェンジの一例と言えるでしょう。
参考:https://www.ashoka.org/ja-jp/story/4-levels-impact