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行動探求(アクション・インクワイアリー)を学ぶ(3)―7つの行動論理<専門家型・達成者型>―

2016年02月10日

前回(2)の記事でご紹介した機会獲得型・外交官型の二つの行動論理は、自ら望んで陥りたくないがいざ難しい環境下に身を置くといつのまにか支配され反応的な行動をとってしまう行動論理でした。こうした弱点を克服して、自分自身の中に軸をもち自己を主導して、より能動的に一次ループの学習を回し出すのが、今回紹介する「専門家型」と「達成者型」です。

よく見られる行動論理(つづき)

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専門家型

三つ目の「専門家型」の行動論理は、なんらかの分野(マーケティング、財務、マネジメント、法律、交渉など)で専門知識を培い、その分野での論理体系に従い自己の行動を導きます。インプットは、主として自身の行動の前提となるような思考や認知の世界(第三体験領域)に焦点をあて、そこから生じる行動やプロセスがどのように見えるかには意を介しません。アウトプットとしては、自身の専門分野の論理や基準に則って、原因を追及し問題解決を目指す行動をとります。この行動論理のよい面は、効率的に成果を出せるところです。特に、独自性を打ち出し、その専門分野で重視する尺度での成果は大きいと言えるでしょう。一方、よくない側面は、周囲の人の意欲や動機に関しては無頓着で独りよがりになりがちであり、また効率を重視する結果、異なる環境や環境変化のある状況下において効果を出せないこともしばしばです。一次学習ループを行うものの自分のもつ基準を強く重視するため、自分が認めるその分野の第一人者の場合を除き、他者からのフィードバックはほとんど受け取りません。

達成者型

四つ目は「達成者型」の行動論理です。この行動論理は、インプットとして目標を達成するための思考・戦略、行動、結果(第一、第二、第三の体験領域)のそれぞれに意識を向けます。その際、行動が他者にどのように認知しているかにも意識を向けることができます。アウトプットとして、目標達成に向けて、他者を巻き込みながら効率だけでなく協調的で効果を得るための行動をとります。この行動論理のよい面は、チームや組織を目標に向けて成果を出す点で有効であることです。意思決定者、経営者、マネジャー、などの立場にしばしば着くことがあります。一方、この行動論理の限界は、おそらく達成者として今までの成功体験が多いことが仇となって、自分自身の思考の枠組みにはまっていることに気がつきにくいことといえるでしょう。フィードバックも、自身の思考の枠組みの範囲内で目標を達成するための行動の学習は積極的に行います。しかし、根底にある思考の枠組みへのフィードバックには抵抗し、受け容れようとしないことから二次ループの学習を自身で行うことはまれです。

理念と現場の「矛盾」を超える、次の行動論理へ

今回紹介した専門家型・達成者型の行動論理は、自分の中に軸をもって自己を主導することで、効率的に結果を出したり、チームや組織を目標に向けて成果を出したりすることができるという強みをもった二つの行動論理でした。こうした特徴柄、実際に米国にて約500名の経営者の研究をしたところ、約8割の経営者が専門家型、あるいは達成者型の行動論理を主に用いていることがわかりました。

しかしながら、特定のフィールドにおいて自らの行いに高度に熟達していることへの自身や満足感にしがみつくことが、さらなる学習と発達を阻害することがあります。会社の理念と現場の仕事、自分の真実と相手にとっての真実、過去に成功してきた戦略と現在求められているやり方など、これらの間に現に生じている「矛盾」に対しまっすぐに目を向けようとしたとき、専門家型・達成者型の行動論理でいては、あらゆる自分や他者、組織の可能性が束縛されているように感じるようになります。そんなとき、次の「再定義型」「変容者型」の行動論理を体験する扉が開かれます。

つづく(7つの行動論理 再定義型・変容者型

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