学習する組織
行動探求(アクション・インクワイアリー)
行動探求とは?
行動探求(アクション・インクワイアリー)は、洗練されたアクション・ラーニング手法であり、発達理論に基づくリーダーの変容を促して行動の幅と効果を広げ、また、チームや組織を「学習する組織」へと導くための探求手法です。組織開発の大家、ビル・トルバート氏らによって開発されました。
システム的な観点でみたとき、通常のマネジメントはPDCA、つまり起きた結果を見ながら自らの行動の見直しを図る一次ループの学習であることが多いといえるでしょう。それに対して、クリス・アージリス氏、ピーター・センゲ氏らは自らの思考の前提にある戦略やゴールなどを見直す二次ループの学習を提唱し、組織開発・組織学習の基礎を築きました。さらに、より深いレベルにある自らの源の意図やビジョンにまで意識を広げる三次ループは、リーダーや組織自身の深い変容を促します。オットー・シャーマー氏、アダム・カヘン氏らが提唱、実践する「U理論」(プレゼンシング)などはまさにこうしたレベルでの深い気づきを得て、自らの存在意義やビジョンを再構築します。これらの手法に関わってきたビル・トルバート氏の行動探求(アクション・インクワイアリー)は、ここにある全てのレベルの探求を行うものです。
加えてこれらの学習理論や探求手法に比して特徴的なことは、通常の探求や内省は、行動の後に為されるために将来の行動しか変えることができませんが、行動探求(アクション・インクワイアリー)は「今」に焦点をあてて、その場で起こっているさまざまなことに意識を広げ、まさに行動を為す自身を瞬時に振り返り、タイムリーな行動を起こすことに焦点があたっていることです。
行動探求(アクション・インクアイワリー)を通じて、下記のような力を伸ばすことができます。
- いまこの瞬間に耳を傾け、出現する未来に耳を傾ける力
- いまここでまさに起ころうとしているリスク(危機)とチャンス(機会)に敏感に気づく力
- より影響力があり、柔軟で、持続可能なリーダーシップを発揮する力
また、最近欧米でグローバル人材の輩出に重要な位置づけにある発達理論に基づき、リーダーシップの7つの発達段階や、組織が学習する組織に向かう8つの発達段階を示し、それぞれの段階に応じてどのように発達の経路をたどることができるかを示す点でも、他の組織開発・学習手法に比して特徴的です。
3つのレベルでの行動探求
発達理論や行動科学に基づいた、個人、二者間、組織における行動探求(アクション・インクワイアリー)について、より詳細な内容を紹介します。
行動探求(アクション・インクワイアリー) 関連記事
システム思考メールマガジンに掲載してきたコラムやWEBサイトの中から、行動探求(アクション・インクワイアリー)について学ぶ上で参考としてほしい関連記事をまとめてリストアップしています。まとめ読みしたい方はどうぞこちらから!
人とどう出会うかがほかのすべてを左右します。相手に対してできる限り最善のことを想定して人と出会うか?つながろうとしている人間の奇跡に好奇心をもって一人ひとりと出会うか?それとも援助しようとしている貧しい人として出会うか?
ーーマリアンヌ・クヌース(クファンダ・ラーニング・ビレッジの創設者)