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ビールゲームとは?
ビールゲームは、1960年代にMITのスローン経営学大学院で開発されました。ピーター・センゲ『学習する組織』やジョン・スターマン『システム思考』などで紹介されている入門用経営シミュレーションであり、世界で最も人気の経営ロールプレイゲームの一つです。
同じ産業でも、不景気を迎えたときにどのような業績を残すかには、かなりバラツキがあります。とりわけ、生産調整や解雇などの度合いは会社によってずいぶんと異なるものです。
どうすれば、景気循環に伴う問題の真の原因に気づき、自社の戦略や方針を見直すことができるだろうか? マネージャーが自分自身のメンタルモデルに気付くにはどうすればよいだろうか?
この問いに答えるべく開発されたのが、在庫管理に関わるロール・プレイング・ゲーム、「ビールゲーム」でした。(最初は、調査したメーカーに合わせて、冷蔵庫を使っていたそうですが、後に親しみやすい、ビールに変更されました。このゲームでは、実際にアルコール飲料を飲むことはありません。また、未成年者を含める場合は「リンゴジュースゲーム」などと表現を変えています。)
このゲームでは、1グループあたり4~8人が、工場、一次卸、二次卸、小売の4つの役割をそれぞれ1~2名が分担します。目的は、在庫管理に関わる 2種類のコスト、在庫保持コストと欠品による機会損失コストの最適化を図ることです。そして、コストの最適化を図るために、それぞれの役割で、毎週何ケースのビールを発注するかの意思決定を行います。
実地集合型の例
オンライン研修にも対応
商品は一つだけで、サプライチェーンも枝分かれせず、ただ一列直列にあるだけの、とてもシンプルなゲームです。とてもシンプルなゲームにも関わらず、実際にプレイをしてみるとさまざまなことが起こります。
その体験の振り返りを通じて、どのような方針の組み合わせが在庫や生産量を上下させ、逆にどのような方針の組み合わせが在庫や生産量を安定させることができるか、を考えます。
そして、このゲームの効用は、単にオペレーション上の問題を考えることにとどまりません。サプライチェーンや社内の各部署、あるいは他部門・多機能のプロジェクトにおいて、メンバー間の協働は成功を決める最大の要因と言ってよいでしょう。その正否を決めるようなメンバー間の働き方について、どのような思考や行動がチームや全体の成果を下げてしまうのか、成功のためには何が必要かということについて、自分自身の実体験をもとに考えることができます。
ビールゲームは、世界中のビジネススクールや企業研修などで、数千回以上にわたって行われてきました。それほど繰り返し行われ、未だその人気が色あせないのは、シンプルなゲームを通じて、マネジメントやチームの協働のもっとも重要な要因である自分自身の思考や心のあり方について、じっくりと考え直すことができるからではないかと考えます。いわば、自分自身やチームメンバー達のメンタルモデルを形式知として浮上させる、とても強力な学習ツールなのです。
事例でより詳しく読む:不景気でも生き残れる企業、生き残れない企業の違い~ビールゲームに学ぶ