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【受講者インタビュー】チェンジ・エージェント・アカデミー 「学習する組織を導くリーダーシップ 集中プログラム」
昨年、内容を刷新したチェンジ・エージェントアカデミー。一年間を半年間ずつ上期・下期と分けて、それぞれのタイミングに応じて自職場・組織でのリーダーシップの発揮に役立つよう、ゼミ形式の6回連続講座としております。
上期は、"組織づくり"をテーマとして、「学習する組織5つのディシプリン」を中核に据えたリーダーシップに取り組んでいただきます。下期は翌年度に向けた"戦略づくり"に役立つよう、中長期の視点で起こりうる未来を想定したうえで創り出したい未来づくりのアプローチを学ぶ「変容型シナリオプランニング」をテーマにする予定です。
このたび、昨年5月から実施した第5期チェンジ・エージェントアカデミーご受講者のお一人にインタビューにご協力いただきました。どのようなことを学べるゼミなのか、なにが得られるものか、体験談が参考になるようでしたら幸いです。
話し手(第5期ご受講者):明治商工株式会社 坂本 諒太様
Q.アカデミーを受講する前、どのような期待がありましたか?
会社で、若手の管理職の強化施策として管理職研修に参加し、その際に課題図書で読んだ『学習する組織5つのディシプリン』が面白く、もう少し掘り下げたいと思ってたところにタイミング良くアカデミーの話を知りました。学びを深めたいと思って参加したのが受講の動機です。
当時、営業部門に所属し、営業全体の方向性をつくっていくことがミッションで、どうずれば組織を良い方向に導けるかということが組織課題でした。私は、本を読んではいましたが、若手の管理職でもあり、実践上での組織全体の動かし方をつかみきれていませんでした。ついては、会社の外で知らない人と折衝することで何か面白いことが起こるのかと言う期待がありました。
Q.アカデミーを通じて設定した取り組み課題はなんですか?
会社の中長期の成長に向けて社員全体でどう行動できるか、ということを課題にしました。
危機意識を皆にどうもってもらうかが課題でした。中長期の成長を考えてもらわないといけないから、10年20年先を見据えたときに、会社をどういう方向にもっていくのか、どう働いていたいのか、営業部門全体で考えたいと思っていました。経営層の考えている事を実行する、というだけでなく、社是や行動指針にあるように、自ら考え行動していく、と言うことをやりたいと考えていました。
Q.アカデミーを受講して印象に残っていることは何ですか?
会社で接していない、立場も背景も違うメンバーでありながら、実は同じ悩みを持っている仲間と対話ができることです。
似たような課題をもっていても、会社のように関係性が深く利害関係があると話をしにくいことがあるので、一人で考えますが、考えていてもなかなか先に進みません。しかし、利害関係がないと、深く話しができるとを実感しました。
また、印象に残っているのは、8月に実施した第5回アカデミーでの「ジャーナリング」です。自らに深くまで入ってくるな、と強く印象に残っています。なんのために設定した課題をやるのか?、あの場の雰囲気もあって、まるで裸にされているような気持になり、ジャーナリングを終えたときは、自分を外から見ることができた感じがありました。自問自答ではなく、人から与えられた問いかけに対して、アウトプットをするのでもなくて自分の中でかみ砕き、心の中で答えることができる時間で、とても不思議な心地のよい感じがありました。
Q.相互コーチングでは何か気づくことがありましたか?
もともと12-13人のアカデミーでは自分のしゃべる時間は限られましたが、相互コーチングでは4人で話をしました。4人だと距離も近く、より深く話ができます。近いけれど背景は異なるし、フラットな関係で話しができます。明らかに年齢や役職が上の方ですが、特にその肩書きに触れることもなく話しをすることができました。会社で相互コーチングと同じことをやろうとすると、役職、入社年度の違い、仕事の違いや、また仕事の成果や見聞きする仕事ぶりなどの背景が表に出てしまい、なかなか会社の中では難しいと思いました。同じ悩みを持っている人たちが集って、純粋に、素直な気持ちで悩みを共有できた事が良かったと思います。
Q.6回のアカデミーを通じて課題を想定して、取り組んだことはありますか?
俯瞰してものごとを見ることができるようになったと思います。それと、こうだろうな、と決めつけるのではなく、その言葉の背景や、何をもってそう言っているのかな、と言うことを意識するようになりました。
今までは自分の立場からの物言いだったけれど、アカデミーを受けたことによって、視座の位置が変わってきたように自分では思っています。"こう思うのだけれどどういう風に相手は考えているのかな?"と考える時間ができたように思います。人からも良くなったといわれることがありました。
自分のやり方が必ずしも正解ではないと言うことに気づけました。結局、最終的にゴールにたどり着ければよいから、もしかしたら他の人の提案するプロセスが近道であるかもしれないと思えるようになりました。こういうやり方もあるよね、と言うことを見ることができるようになったことが、俯瞰できるようになったことの一つだと思います。それによって、決めつけることもなくなったように感じます。
Q.課題として設定していた組織の在りようや自分の周りの変化について、手ごたえを感じることがありますか?
4月に組織が変って、私は営業部門から異動しましたが、社長の言明で昨年始まった中長期会議がそのまま継続し自主的に実施されることになったことが一つの手ごたえと感じています。
組織が、少しずつ、自発的な動きを始めている感じがします。直接的にこの研修の影響かどうか、他の研修なども行っているし、特定はできませんが、この中長期会議が組織体制が変わっても継続して自発的に行われるので、5年後の未来予想を自分達でつくる組織になってきているように思います。
会議内容についても、当初は自社の資源を活用しない突拍子もないアイディアが多くありましたが、最近は自組織の資源を活用して、未来を維持するためにどうしていくかという方向になってきているように感じています。今年度、なくすこともできた会議が継続しているということは、社員が意味があると思って残したので、一つの効果の表れだと捉えています。
Q.アカデミーを終了して、改めて意味があると感じたことはありますか?
悩んでいるときに、一人で考えるよりも、同じ悩みを持っている人とともに対話をし深めるということに取り組んだことで、腑に落ちる部分があった、と感じます。本当に受けてよかったな、と思います。
Q.最後に読み手の皆さんにメッセージをお願いします。
5つのディシプリンのなかでも、自己マスタリーが好きです。同じ悩みを持っている仲間とともに語りあう時間をつくることによって、相談ができたり、同じ課題を持っているんだ、ということに気づいたりすることで、一人で悩むよりも学習するきっかけになったと思います。自己マスタリーを探求していければ、個人の禅問答に近いところもかなりあると思います。答えがないことを皆で探求しているような気がしました。結局答えはありません。小田さん(講師)も解は知らないと思います。組織に持ち帰って実践してみなければ分かりません。
面白かったので、ぜひ受講してほしいと思います。
(聞き手:チェンジ・エージェント北見幸子)