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「バラトングループ」と呼ばれる国際ネットワークの合宿でヨーロッパに来ています。
今年も世界中から55名のシステム科学者やシステム規模の変革を目指す活動家がハンガリーのバラトン湖畔に集まり、相互への深い尊敬・信頼をベースにして世界の現状について議論を重ね、共同プロジェクトを模索しました。
多様な人たちの議論は、互いの視点やエネルギーの交換を通じてさまざまな新しい気づきや問い、アイディアにつながって、参加者それぞれの活動を後押しし、そして自己組織的に新しい協働を次々と創発していきます。
鉄のカーテンのあった冷戦時代である1982年に始まったこのグループは、旧ソ連側の東欧と西欧のシステム科学者たちが資源、人口、経済、開発などのグローバルな課題について話し合うため、安全な場所としてハンガリーを選び、この合宿
が始まりました。今日では、西洋からだけでなく東洋からも、北側からだけでなく南側(途上国)からも参加者が集まる、多様性に充ちた場が築かれます。
多様性は出身国や活動する国・地域だけではありません。まだ20代の可能性に充ちた若者もいれば、70-80代の老賢人たちが、それぞれの視点を提供します。参加者やスピーカーの男女比も半々であり、現在のボードメンバーも男女比が半々
で構成されています。男女が共に集まる国際会議で、どの切り口でも男女のバランスがとれている会議はめずらしいといえるでしょう。
この背景には、途上国でシステム規模の変革を目指す若い女性を発掘し、世界で先進的な活動、政策提言、研究などを進めるリーダーやメンターたちとつなげる「ドネラ・メドウズ奨学生」プログラムがあります。
バラトングループ創設者であるドネラ・メドウズ氏がなくなった翌年の2002年にプログラムが設立され、今までに、途上国の女性たち(例外的に先進国や男性もいます)40名余を招き、この合宿の経験を経て新しい世界観や広くものごとを見
る視野を築き、世界各地で活躍しています。(弊社会長の枝廣も、ドネラ・メドウズ奨学生の第1期生です。)
私たちも、このドネラ・メドウズ奨学生制度の運営を支え、資金集めなどに奔走しながら、途上国の女性の能力開発とそして多様性が真に活かされる場づくりへの貢献を続けていきたいと考えています。