イベント&セミナー
チェンジ・エージェント社では、2005年の創業以来、事業変化の激しい時代において、変化の潮流を捉え、望ましい変化を創りだすために必要となるものの見方、考え方を培うシステム思考のセミナーを提供してきました。
システム思考を学ぶことは、組織や地域の関係者間でシステムの複雑性についての共通理解を促し、望ましい未来に向けて適切なビジョン、戦略、行動及びマネジメント・システムの設計を可能にします。また、システム思考は、競争戦略論、認知行動論、組織開発、プロジェクト・マネジメント、制約理論、U理論、デザイン・シンキングなど数多くの手法の基盤にある考え方であり、今日のさまざまな実践手法を学ぶ上での重要なOS言語と位置づけられています。複雑系である社会や組織や人々の中で仕事をする上で、システム思考は今日版の「読み書きそろばん」に相当する、必須の21世紀型スキルの一つとも言えるでしょう。
そして、創業15年目となる2019年、国際的なシステム思考実践家を招いての特別セミナーを開催します。今回の招聘講師は、システム思考の実践において多大なる実績と定評をもつ、デイヴィッド・ストロー氏です。ストロー氏は、「学習する組織」を提唱したMIT上級講師ピーター・センゲ氏らと共にイノベーション・アソシエイツ社を共同設立して、組織におけるシステム思考の実践を推進する最前線を率いた人物です。
チェンジ・エージェント社の提供するシステム思考のプログラムは、『成長の限界』で知られるデニス・メドウズ氏とドネラ・メドウズ氏の指導に基づくものですが、メドウズ氏の発案したシステム原型は、同門のセンゲ氏やストロー氏らによってビジネスの現場で実用化され、センゲ氏著『学習する組織』のシステム思考の主要コンテンツとなって、世界各地へと広がっていきました。
このたび、システム思考実践の第一人者、ストロー氏を迎えて、この特別セミナーを日本の皆様に紹介できるのは、チェンジ・エージェント社としての大きな喜びとするところであり、また、日本で社会変革、組織開発、地方創生、人財開発に取り組む方々にとって有益な学習機会になることでしょう。
今回のストロー氏によるシステム思考セミナーには次のような特徴があります。
1) 「システム原型」の実践的活用の第一人者から学ぶ
定番のチェンジ・エージェント社のシステム思考セミナーに比べて、システム原型を重点的に取り上げているのが本特別セミナーの特徴の一つです。システム原型は、複雑で長期間の訓練を必要とするシステム・モデリングに比べ、比較的少ない訓練で一般のビジネスパーソン、非営利団体職員、市民らがシステムに関する理解や会話を促すツールとして広く世界に普及しました。しかし、単なる問題事象を捉えるテンプレートとして活用したのではその価値が十分活かされません。
ストロー氏は、ドネラ・メドウズ氏が市民向けに発案したシステム原型を、ビジネスパーソン向けに実践化したコンサルティング会社の共同設立者として、多くの組織で展開、活用していきました。ピーター・センゲ氏著『学習する組織』で紹介されているシステム思考の企業事例の多くは、ストロー氏らの貢献によるものと言ってよいでしょう。
本セミナーでは、著書で紹介される12のシステム原型を概観してその中から5つをクローズアップしてその活用法を紹介します。より組織や利害関係者の文脈で使い勝手のよいシステム原型を、いかに表面的な議論に終わらせずに活用するかを実践者から学べます。
2) 社会変革文脈でのシステム思考の活用
2018年11月、チェンジ・エージェント社の小田は、ストロー氏の著書を翻訳し、『社会変革のためのシステム思考実践ガイド』を上梓しました。この著書は、社会システムという複雑性が際立った環境の中で、システム思考をいかに実践するかという基本的な考え方、ツール、実践事例を豊富に集めたものです。システム的に利害関係者を集め、そしてシステム的に共に考えるプロセスを経て、未来に向けて有用な社会価値・アウトカムの共創を目指すことを提唱します。
日本でも、「ESG投資」「SDGs(持続可能な開発ゴール2030)」「CSV(共通価値創造)」などの潮流を受けて、さまざまなセクターから社会課題に取り組み、社会的インパクト(ソーシャル・インパクト)をいかに生み出すかへの関心が高まっていますが、その方法論の確立や担い手の育成は端緒をつけたばかりです。
このたび、社会課題においても豊富な実践経験をもつストロー氏を迎えて、社会変革を考える上で必須のシステム思考を学ぶことは、日本での社会変革の推進、社会的インパクトの創造・共創の基盤づくりに役立つことと考えます。
3) システムの変容を促すリーダーシップについて学ぶ
ピーター・センゲ氏が『学習する組織』で提唱するのは、単にシステム思考をはじめとする5つのディシプリンのそれぞれが重要ということではなく、それらのディシプリンを統合して実践することにあると言えるでしょう。
本セミナーでは、「4段階の変革プロセス」を通じていかに利害関係者たちが対話のために集い、システム思考、メンタル・モデル、自己マスタリーのディシプリンを組み入れ、共有ビジョンを実現するための「変化の理論(セオリー・オブ・チェンジ)」の構築へとつなげます。
また、システム思考の認知的側面、つまり「気づき、考える」だけでなく、システムの変容を促すリーダーシップに必要となる感情的、行動的、精神的な側面についても学ぶことで、参加者の実践の質と効果を高めることを狙います。
チェンジ・エージェント社は過去14年にわたって、数多くのシステム思考のプログラムを提供してきましたが、今回のディヴィッド・ストロー氏の来日特別セミナーは、社会変革分野での活用、システム原型の実践的活用、そして5つのディシプリンを統合したシステム・リーダーシップの三点で、ユニークな学習機会となるでしょう。
このセミナーの対象として、民間、行政、市民、アカデミック分野において複雑な課題に取り組む現場リーダー、ファシリテーター、変化の触媒の役割を担う方、あるいはそうした人材開発・組織開発に取り組む方々に最適です。また、社会起業家、社会変革・社会課題解決に取り組む方、CSV、SDGs、ESGに取り組む企業の方にも有益でしょう。システム思考をすでに実践してきた方、学んだ方にも上述のようにさらに学べることがありますが、初めての方にも学べるように設計しています。
日本において、社会変革や組織変革を推進するための方法論を第一人者から学べるこの貴重な機会を是非ご活用ください。問い合わせがありましたら、チェンジ・エージェント社江口、福谷宛てにご連絡ください。お申し込みは、下記詳細を参照の上、ページ末にある申し込みフォームに記載、送信ください。
プログラム概要
●日時
6月15日(土)9:30-18:00
6月16日(日)9:00-17:00
● 場所
TKP御茶ノ水カンファレンスセンター(最寄駅:御茶ノ水駅または新御茶ノ水駅)
● プログラム (変更の可能性があります)
デイヴィッド・ストロー氏招聘特別セミナー「社会変革のためのシステム思考」
第一日 システム思考の基本原則とツール
9:30 - 18:00
- 導入/概要
- なぜ善意だけでは不十分なのか
- 従来型の思考とシステム思考の違い
- 氷山モデル(事例:ホームレス問題)
- システムの基本言語
- システム原型
|「うまくいかない解決策」
| 「問題のすり替わり」 - メンタル・モデルのパワー
- レバレッジ・ポイントを見いだす
- 1日目振り返り
第二日 システム分析を深め、システム変容を導く
9:00 - 17:00
- 導入
- システム原型(つづき)
|「成長の限界」
|「予期せぬ敵対関係」
|「強者はますます強く」
|その他の原型概観 - システム変容を導く
|4段階の変革プロセス
|システム分析への当事者意識を築く
|システムの深掘り――意識的な選択をする
|システム思考の戦略策定と評価への応用――変化の理論と評価
|システム・リーダーシップの4つの側面――認知、感情、行動、精神 - まとめ
※セミナーは日本語で行います。デイヴィッド・ストロー氏は英語で話しますが、日本語への逐次通訳がつきます。
● 講師紹介
招聘講師
デイヴィッド・ピーター・ストロー
システム思考をベースに組織や社会課題の解決を支援するコーチ/コンサルタント。ブリッジウェイ・パートナーズ、アプライド・システム・シンキングの共同設立者。社会変革プロジェクトに25年以上携わり、世界銀行、ロイヤル・ダッチ・シェル、W・Kケロッグ財団など、さまざまな非営利組織、営利組織、公的機関と協働した実績をもつ。
小田 理一郎
(チェンジ・エージェント代表取締役)
オレゴン大学経営学修士(MBA)修了。多国籍企業経営を専攻し、米国企業で10 年間、製品責任者・経営企画室長として組織横断での業務改革・組織変革に取り組む。2005年チェンジ・エージェント社を設立、人財・組織開発、CSR経営などのコンサルティングに従事し、システム横断で社会課題を解決するプロセスデザインやファシリテーションを展開する。デニス・メドウズ、ピーター・センゲ、アダム・カヘン、ビル・トルバートら第一人者たちの薫陶を受け、組織学習協会(SoL) ジャパン代表、グローバルSoL理事などを務め、国内外でシステム思考、ダイアログ、「学習する組織」の普及推進を図っている。
著書に『「学習する組織」入門』(英治出版)、『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか』(東洋経済新報社)など、監訳・共訳書にデイヴィッド・ストロース著『社会変革のためのシステム思考実践ガイド』、アダム・カヘン著『敵とのコラボレーション』、ビル・トルバート他著『行動探求』、アダム・カヘン著『社会変革のシナリオ・プランニング』、ピーター・M・センゲ著『学習する組織』、アダム・カヘン著『敵とのコラボレーション』、ディヴィッド・ピーター・ストロー『社会変革のためのシステム思考実践ガイド』(以上、英治出版)など。
デイヴィッド・ストロー氏に関するコメント
"複雑な問題を解決するに対して、断片化されたバラバラの取り組みでは効果が上がらないことを認識することはたやすい。しかし、それにとって変わる手法を具体的に提示するとなると話は別だ。ディヴィッド・ストローは、さまざまな状況下で40年間にわたる実践的なシステム思考ツールの応用を経て、結果を残すための、明快で説得力のあるガイドを書き上げた。"
(ピーター・センゲ、MIT上級講師、『学習する組織』著者)
"ディヴィッド・ストローは、システムの原則を建設的な社会変革に努力する人たちに向けて活用する取り組みの第一人者である。多くの書籍がシステム思考に関して書かれているが、どのように活用するかについては書かれていない。この本はその例外と言えるだろう。ディヴィッドは、私たちの社会の重要な課題に長年にわたってコンサルタントとして従事してきた経験を紐解いている。"
(デニス・メドウズ、『成長の限界』共著者)
"私が本書の著者デイヴィッド・ストローと、彼の相棒であるマイケル・グッドマンの二人に出会ったのは、〈組織学習協会(SoL〉)コミュニティの会議でのことでした。彼らは私にとって、システム・ダイナミクス学派の兄弟子です。二人は後輩やシステム思考の初学者に対してとても面倒見が良く、真摯な態度で、難しい質問にも思慮深く、そして愛情をもって答えてくれます。社会や自然に対して共感と愛情を抱き、他者に対しては信頼を基本として接している人物たちであると尊敬の念を抱いていました。
この二人の貢献の中でも著名なのは、本書でも中心に取り上げられている「システム原型」のビジネス分野への応用です。システム原型とは、さまざまな分野で共通して現れることの多い、問題の構造の基本となる型です。もともと、環境・開発分野で数多くの功績を上げたドネラ・メドウズが、一般の市民にもシステムの構造を理解してもらうために発案しました。このシステム原型が示す有用な知恵の一つは、その汎用性です。セクターや業界や規模にかかわらず、現実の問題をシステムのフィードバック構造に落とし込むことができれば、根本原因の掘り下げや解決のためにとるべきアプローチの手がかりを得られるのです。デイヴィッドとマイケルがこの考え方をビジネスや職場の場面に応用し、実践を積みながら練り上げていきました。彼らのこの貢献は、1990年に版されたピーター・センゲの『学習する組織』)の中で大きく取り上げられています。システム原型を用いることで、難易度が比較的高い作業が多かったシステム思考の実践を、身近な職場やビジネスの問題へ適用することがしやすくなったのです。このシリーズの書籍の発行部数は全世界で300万部以上にものぼり、世界各国の組織や地域で「学習する組織」の考え方が広がっています。"
(小田理一郎、『社会変革のためのシステム思考実践ガイド』監訳者による解説より引用)
● お薦めする受講者
・民間、行政、市民、アカデミック分野において複雑な課題に取り組む現場リーダー、ファシリテーター、変化の触媒の役割を担う方
・向社会的な人材開発・組織開発に取り組むマネジャー・担当者
・社会起業家、社会変革・社会課題解決に取り組む組織のマネジャー・担当者
・CSV、SDGs、ESGに取り組む企業のマネジャー・担当者
※システム思考の応用実践を多く含むプログラムですが、システム思考が初めての方にも一緒に学べるように設計しています。
● 価格
一般 120,000円(税別)
NPO法人割引 84,000円(税別)
※宿泊費、昼食代は含まれません。昼食は近隣のレストラン等をご利用ください。
※「NPO職員(フルタイム)の方」、「小中高教員の方」は参加費が30%割引になります。NPO法人割引は、特定非営利活動法人・公益財団法人・公益社団法人を前提にしておりますが、本セミナーに限って、社会変革を組織の目的に据えている一般財団法人、一般社団法人にも割引を適用します。ご利用に際して必要手続きをご案内しますので、詳しくは事務局seminar@change-agent.jpまでお問い合わせください。
※100km以遠の方は遠方参加者割引制度がございます。
https://www.change-agent.jp/news/archives/001036.html
※割引の併用不可(NPO・教員割引と遠距離参加割引の併用も不可)
● 募集人員
32人
主催
有限会社チェンジ・エージェント
お申込み
本セミナーは満席・キャンセル待ちとなりました。ご参加を希望の方は、以下のフォームより必要事項をご記入の上、お申込みください。
※受付確認後、振り込み口座をお知らせいたします。入金確認を持ちまして正式な受付となります。入金確認後、受講票と詳しいご案内をメールでお送りいたします。(※フォームからの送信ができない場合は、大変お手数ですが、上記申し込み票の項目をご記入のうえ事務局 seminar@change-agent.jp までメールでお送りください。)
※お申し込み後、一週間たちましても返信が届かない場合は、インターネットの送受信にトラブルがあることも考えられますので、ご一報いただけますようお願い申し上げます。
お問い合わせ
(有)チェンジ・エージェント 担当 福谷・江口
E-mail: seminar@change-agent.jp Tel:03-5846-9660
【お願い】1週間たちましてもお返事が届かない場合は、メール送受信のトラブルの可能性がございますので、ご一報いたけますようお願い申し上げます。