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シナリオ手法(シナリオ・プランニング)と共創

2014年03月04日

以前にシナリオ手法(シナリオ・プランニング)について紹介しましたが、引き続き最近の動きなどをご紹介します。

英治出版より昨年12月、『シナリオ・プランニング』(ウッディー・ウェイド著)という本が発売されました。写真や図が多く、シナリオの事例を日本語でたくさん触れることができる本としてお奨めです。
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中でも、著者の息子がたまたま持っていた(が執着はない)ハリー・ポッターの初版本の売り時を探るエピソードがあります。2004年頃それまで値上がりしてきたその本を「いつ売るともっとも高く売れるか?」という課題にシナリオ・プランニング手法を適用しました。その後7年かけて実際に手法の成果を活かしたというエピソードは、ごくごくシンプルな事例であるゆえに、初めての方にもシナリオ・プランニングの価値がわかりやすいものです。

もちろん、戦略策定や政策決定のような場面では、どれくらいの利害がかかっているかによって、より深い分析や考察が必要です。そうした課題にも応えるために、この本では、主に適応型、演繹型のシナリオ・プランニングの実践の仕方や事例をひもといてくれます。

ところで、手法的には、未来への適応型に対して「創造型」、シナリオ構築における演繹型に対して「帰納型」が存在します。こうした手法をより得意としているのが、元シェルのシナリオ・プランナーで、世界的に著名なファシリテーターのアダム・カヘン氏です。彼は、U理論の構築にも関与しており、変容・変革のファシリテーションに長けています。そして、自己変容から組織変容、社会変容などへの流れをデザインする自らの手法を「トランスフォーマティブ・シナリオ・プランニング」と名づけました。

アパルトヘイト後の黒人政権への移行を図る南アフリカ、内戦後のグアテマラの国づくり、麻薬問題の解決に大きく前進するコロンビアなどで実際の成果につなげるなど、すでに多くの実績があります。これらの事例と手法の骨子をまとめた同タイトルの本が英語で2012年に出版されました。
Transformative Scenario Planning: Working Together to Change the Future

昨年6月の「オーセンティック・リーダーシップの実践会議」や、今年5月に開催される「グローバルSoLフォーラム」など、世界の組織学習やリーダーシップの国際会議での基調講演が続き、注目度が高まっています。

通常のシナリオ・プランニングは、どうなるかわからない、複数の未来シナリオへの適応力を高めます。その根底で、自らのメンタル・モデルを広げるということも主眼になります。

一方、トランスフォーマティブ・シナリオ・プランニングでは、通常単独では変えることができないような外的環境について、システムの中の主要プレイヤー達を巻き込むことで、外的環境シナリオそのものについてよりよい未来を創り出そうとする点が大きな違いです。シナリオという規律あるプロセスを踏むと同時に、ホールシステムのアプローチをとること、そして、しばしば対立してきた多様な利害関係者たちが対話を続けるための安全で強い「器」を構築することが必要となってきます。そこに集まったシステム全体の縮図のそれぞれが自己変容を図り、未来に向けて相互によい影響を与え合い、感化し合うことで組織変容や社会変容を図っていきます。今の時代を共有する他のプレイヤー達との未来を共に創造する「共創ビジョン・戦略」を築くためのプロセスとも言えるでしょう。

日本でも、未来ビジョンを創ろうという動きは、組織や地域などで広がっていることを実感します。みなさんの組織や地域でも、誰もが当事者となって自己変容をいとわない、「共創」に、取り組んでみてはいかがでしょうか。

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